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【5分で分かる】ばいじん(煤塵)とは?処理方法や排出基準を詳しく解説

  • 執筆者の写真: 雪乃 石原
    雪乃 石原
  • 2024年5月8日
  • 読了時間: 11分

更新日:2024年5月17日

これはばいじんに含まれる?

「ばいじんはどうやって処理すれば良いのだろう?」

上記のような疑問をお持ちの方のために、ばいじんの基本的な知識を分かりやすく・詳しく解説します。


産業廃棄物の1つであるばいじん(煤塵)は、処理方法や排出基準、測定義務などが法律によって定められています。


この記事では、ばいじんを正しく処理をするために知っておきたい以下のような知識を解説していきます。

  • ばいじんと似ている言葉との違い

  • ばいじんの排出基準

  • ばいじんの処理方法

なるべく専門用語を使わずに説明しますので、安心して読み進めて下さい。


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ばいじん(煤塵)とは?



ばいじんとは物が燃えた際に発生・飛散するススや煙に含まれる微粒子のことです。


大気汚染防止法で定められたばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法で定められた特定の施設や産業廃棄物焼却施設で発生し、集じん設備によって集められ、処理されます。


発がん性を持つ有害物質が混ざっていたり、呼吸器系に悪影響を及ぼしたりすることから、ばいじんの排出には規制が設けられています。


産業廃棄物に分類されるため、法律で定められた方法で処理が必要です。

ばいじんの中でも、一定以上の濃度で重金属やジオキサン、ダイオキシンなどを含むものは「特定有害産業廃棄物」と呼ばれ、処理方法の規制も一層厳しいものになります。


ばいじんと粉じん・もえがら・ばい煙の違い



ばいじんと混同されやすい粉じん・もえがら・ばい煙との違いについて、それぞれ解説します。

粉じんとの違い

ばいじんと粉じんはどちらも個体粒子であることは共通ですが、発生原因が違います


ばいじんは物を燃やした時に発生しますが、粉じんは物の破砕やたい積などにより発生・飛散します。昔の建築物に使われていたアスベスト(石綿)も粉じんの一種で、健康被害がニュースで大きく取り上げられたこともありました。


粉じんも産業廃棄物の1つで、法律で定められた排出規制があるため、濃度や使用に関する基準を守ることが求められます。


もえがらとの違い

もえがらとばいじんは形状に違いがあります。


ばいじんは物を燃やした時に発生・飛散した微粒子を集じん設備で集めたものです。一方もえがらは、物を燃やした後に底に残った燃えかすのことを言います。


具体的には、石炭がら・焼却炉の残灰・コークス灰などが挙げられます。

もえがらはばいじんと違って、集じん機などで集める必要はありません。


ですが、もえがらも産業廃棄物のため法律に則った処分が必要です。


もえがらについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


ばい煙との違い

ばい煙とは、物が燃えた際に発生し、排出されるススと煙のことです。


大気汚染防止法では、「硫黄酸化物・ばいじん・有害物質(※)」の3つがばい煙として定義されています。

(※)有害物質:カドミウム及びその化合物、塩素及び塩化水素、弗素、弗化水素及び弗化珪素、鉛及びその化合物、窒素酸化物


つまり、ばいじんはばい煙の一種ということです。


ばいじんの具体例



ばいじんにはどんなものがあるか、以下に具体例を挙げます。


  • 廃砂ダスト

  • 転炉ダスト

  • 鉄鋼ダスト

  • 電気炉ダスト

  • バグフィルター捕集ダスト

  • サイクロン捕集ダスト

  • 集じん器捕集ダスト

  • 煙道・煙突に付着堆積したスス

  • 石炭灰

  • コークス灰

  • 製紙スラッジ焼却ダスト

  • SUSダスト

  • EP灰

  • キュポラダスト

  • 各種重金属含有ダスト


燃やしたものや使用されている炉の種類、どの過程で集められたかなどによって、ばいじんには様々な種類があります。


一例を紹介します。

ばいじんは外部へ飛散しないよう、フィルターで集められます。

ボイラーの排気が「マルチサイクロン」と呼ばれる集塵装置を通過した後、「バグフィルター」を通過して、煙突から外に排出されるのです。


マルチサイクロンで集められたばいじんを「サイクロン捕集ダスト」、バグフィルターで集められた灰を「バグフィルター捕集ダスト」と呼びます。


カーボンニュートラルな発電方式として将来性が期待されているバイオマス発電も、木を燃やす過程でばいじんが排出されます。


排出しているススや煙がばいじんに該当するか不明な場合は、自治体などに確認して正しく処理するようにしましょう。


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ばいじんの測定と排出基準



大気汚染防止法によって、ばいじんを発生させる施設には測定義務と排出基準の遵守が求められます。違反をすると、故意・過失問わず刑罰が科されることに。


また、違反が改善されないおそれが認められる場合は、都道府県知事又は大気汚染防止法で定める政令市の長は、処理方法の改善や一時使用停止を命令できるとされています。


ばいじんの測定義務と頻度、排出基準についてもう少し詳しく説明します。


ばいじんの測定義務と測定頻度

ばい煙発生施設の設置者は、大気汚染防止法の規定により、

  • 施設ごとに定められた頻度でばい煙の濃度測定を行う

  • その結果を保存 上記2点をしなければなりません。


測定項目と頻度は、施設の種類によって変わります



※排出ガス量が4万m3N/時未満であって、継続して休止する期間が6月以上の施設のばい煙の測定頻度年1回以上


ばいじんの排出基準

ばいじんの排出基準は、ばい煙発生施設の種類及び規模ごとに、濃度規制方式で定められています。

濃度規制方式とは、汚染物質の排出口における濃度によって規制する方式です。


硫黄酸化物の排出基準と同様、一般排出基準と特別排出基準(9地域指定)とがあります。

  • 一般排出基準:ばい煙発生施設ごとに国が定める一般的な基準

  • 特別排出基準:大気汚染の深刻な地域において、新設されるばい煙発生施設に適用されるより厳しい基準


濃度規制方式は汚染物質の絶対量を規制するものではないため、薄めて排出すればよいという法律逃れができてしまいます。


それを防ぐため、標準酸素濃度補正方式も取り入れられています。

標準酸素濃度補正方式とは、排ガス中の残存酸素濃度と法律で定められた基準酸素濃度とによって汚染物質の濃度を補正する規制方式です。


ばいじんの排出と処理の現状



環境省の調査によると、令和2年度のばいじんの排出量は15,136千トンでした。

10年前、20年前の排出量と比較しても、大きくは変わっていない状況です。


業種別に内訳をみると、鉄鋼業・電気業がそれぞれ15%と最も多く、次いで窯業・土石製品製造業(10%)、化学工業(10%)となっています。

また、施設種別にみると、ボイラが42%と半数近くを占めています。


排出されたばいじんのうち、85%が再生利用され、減量化が8%、最終処分が7%という内訳になっています。


(参考)


産業廃棄物としてのばいじんの処理方法3パターン



産業廃棄物であるばいじんを処理するには、適切な方法で処理しなければなりません。

ばいじんの処理方法は大きく分けて以下の3つがあります。

  • 埋め立て処理

  • 安定化処理

  • リサイクル処理


処理方法を解説する前に、最終処分と中間処理についても簡単に説明します。

  • 最終処分:廃棄物処理法では「埋め立て処分、海洋投入処分、又は再生」が最終処分とされています。海洋投入処分は規制されて現在はほとんど行われません。

  • 中間処理:廃棄物を焼却・破砕・脱水・固化などで安全にしたり、減量したり、リサイクルできる状態にしたりすることを指します。


埋め立て処理とリサイクル処理は最終処分、安定化処理は中間処理に当たります。


埋め立て処理

埋め立て処理は最終処分の一種で、最終処分場で土の中に埋めたり、重ねたりして廃棄物を保管し続ける方法です。

ばいじんはフレキシブルコンテナ(※)などの容器へ収めた状態で、管理型最終処分場で埋め立て処理されるのが一般的です。


ですが、ばいじんの中に重金属が含まれる場合は、管理型最終処分場には埋め立てられません。

有害物質が出てこないよう、コンクリートの囲いと屋根で周囲から遮断されている、遮断型処分場で処分されることになります。


遮断型処分場は数が少ない上に埋め立てられる量も限られているため、次に紹介する「安定化処理」を行ってから処分することも多いです。


※フレキシブルコンテナ:ポリプロピレンやポリエチレンなどの柔らかい素材でできた折りたためる袋。フレコンバッグ、トンバッグなどとも呼ばれる。


安定化処理

安定化処理とは、ばいじんを無害化させることです。

安定化処理の方法は以下の3つがあります。

  • コンクリート固化

  • キレート剤の固化

  • 溶融(ようゆう)

1つずつ解説します。


コンクリート固化

コンクリート固化とは、コンクリートでばいじんを固める方法です。

コンクリートに有害物質を封じ込め、有害物質であるばいじんが飛散するのを防ぎます。


ただし、廃棄物の容量としては増えてしまうため、処分場の処理能力は考慮する必要があります。


キレート剤の固化

キレート剤とは、金属イオンを封鎖・安定化し、水に溶けないようにするための成分です。

コンクリート固化と同様、有害物質を固めて内部に閉じ込め、ばいじんの飛散を防止します。


キレート剤による固化を行った際は、処理後に有害物質が溶けてにじみ出ていないかの試験を行わなければなりません。

試験に合格すれば管理型最終処分場で埋め立て処理ができます。


溶融(ようゆう)

溶融とは、個体を1300~1700度くらいの高温で加熱して液体状に溶かし、減量化・無害化する処理です。

廃棄物の容量を大幅に減らせるのが大きなメリットになります。


溶融後に冷却すると、「溶融後スラグ」という黒いガラス状の物質が残りますが、この溶融後スラグは土木資材や建設資材などへリサイクルできます。

埋め立て処分になる廃棄物の量が減らせて、リサイクルもできるということで利点が多く、各地で導入が進んでいる安定化方法です。


リサイクル処理

前述の溶融で残ったスラグを利用して、新しい資源として生まれ変わらせることができます。

具体的には、路盤材などの建設資材や土木資材、中間処理を施せば「リサイクル改良土」として再資源化することも可能です。


リサイクル処理は以下の流れで行われます。

  1. 収集・運搬する

  2. ばいじんに特殊固化剤、水などを混ぜて造粒固化処理をする ※造粒固化処理:粉体や泥状物に結合剤・添加剤・固化剤などを加えて粒子を結合・固化させて粒子を大きくする処理のこと

  3. 工場内にて養生し、リサイクル埋め戻し材として再資源化する


リサイクル処理はSDGsなど環境保護の観点から、今後ますます重要度が増してくると考えられます。

リサイクル率の向上は地球にやさしいのはもちろん、社会的な評価獲得にも繋がります


ばいじんのリサイクル処理なら株式会社平成へ!



関連会社、和建機械産業株式会社を初め株式会社平成では、静岡県浜松市をはじめ、全国5か所で産業廃棄物運搬業と中間処理を行う会社です。

不要になった物資や廃材をただ再利用するのではなく、より価値の高い新しい製品へと変貌させる「アップサイクル」を行っています。

具体的には、ばいじん・燃え殻を土地改良材や路盤材の下で地盤を支持する路床材、盛土材、肥料などにリサイクルしています。

バイオマス発電や製紙工場のお客様も多数いらっしゃいます


プラントの所在地は以下の通り。

  • 静岡県浜松市

  • 青森県八戸市

  • 福島県郡山市(熱海)

  • 山梨県大月市

  • 福島県いわき市

委託先までの運搬距離が短くなれば、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス削減効果が期待できます。お近くに工場がある方は株式会社平成をぜひご検討ください。


リサイクルでできた副産品を販売できるのも株式会社平成の強みの1つです。

これまで培ったパイプを生かして、販売先の紹介も行っています。


リサイクルで作っている製品の1つが、「アップソイル」という地盤改良材です。

木質焼却灰を再資源化しています。

地盤の強度が不足しているところにアップソイルを所定量を添加し、バックホウや混合機により混ぜ合わせる土に均一に混合し、締め固めることで土の強度があがるのです。


アップソイルには以下のような特徴があります。

  • 動植物にやさしい中性から弱アルカリ性

  • 第2種改良土以上の強度を有する

  • 「土壌の汚染に係る環境基準」にすべて適合


環境問題に対する会社の対応は、これからの日本社会でますます重要視されていきます。

ばいじんの処理でお悩みの方は、ぜひ株式会社平成にお任せください!



 
 
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